私達日本人美容師ができる社会貢献とは、一体なんなのか。

自分で言うのものですが、お陰様で最近は本当に多忙の日々を送っていて、エリート商社マンばりのスケジュールを体調管理と戦いながら、なんとか生きています。

 

ちなみに、どんなだけハードなの?というと、東京からスタートし、

香港3日(出張)→東京5日(仕事)→沖縄3日(スタッフの結婚式)→東京2日(仕事)→ロンドン1日(レイオーバー)→フランクフルト(経由)→アムステルダム4日(出張)→フランクフルト(経由)→ニューヨーク4日(出張)→東京1日(仕事)→カンボジア3日(ボランディア活動)→東京(経由)→大阪1日(セミナー)→東京2日(仕事)→グアム3日(結婚式)→東京。

 

これを全部、約一ヶ月でこなすのです。さすがに今回はハードですね。。。(本当に、日頃から支えていてくれている奥さんに感謝ですね。)

 

そして、そんな多忙のスケジュールの中、私は今カンボジアにいます。経緯を伝えると長くなってしまうのですが、ザックリお伝えしますと、ASSORT GROUPの来年の活動目標のひとつが、「社会貢献」だったからです。

 

私は前々からボランティア活動を行いたかったですのが、貧乏生活が続いたり、仕事の忙しさに追われ、アクションを起こすどころか、自分の休みも取れない状況でした。

 

3/11もそうでしたが、自分が良かれと思って現地へ向かうことが、決して役立つとは限らず、返って迷惑になることもわかっていたので、尚更フットワークが重くなってしまっていました。(すべて言い訳ですね)

 

ですが、世界中の国を巡るようになった今、いろんな人種や文化と触れ合いながら、昔から抱いていた思いを、ふと思い出したのです。

 

もっと世の中の役にたちたい。

 

改めて自分に問いました。

 

「私達日本人美容師ができる社会貢献とは、一体なんなのか。」

 

ハサミの力。美容師の力。日本の底力。

社会貢献とは一言で表すことは本当に不可能に近く、いろんな考え方や価値観があるので、非常にデリケートなトピックだと思います。それは当然、答えに正解がないからです。

 

消費者を増やし、お金の巡りをよくし、経済を発展させること。
→お金の巡りがすべてなのか?本当に求めているのか?

インフラを整え、より過ごしやすい世の中作りのこと。
→先進国はエコな世の中を求めるが、それは全てを既に手に入れているからではないか?

先進国の価値観を共有させ、教育をすること。
→宗教と同じく、相手はその教育を求めているのか?押し付けているだけじゃないのか?

世界平和を目指すこと。
→平和とはなんなのか?核がない世の中が平和の意味になってしまっていないか?

人口を増やすこと。
→増えたら減らすし、減らしたら増やす。歴史がこの繰り返しを示していないか?

 

 

もう書き出したら切りがありません。永遠と書き続けれるのではないでしょうか?どんな意見にも、反対意見があります。

 

そんな中、政治家でもなく、公務員でもない私達美容師は、いったい何ができるのか?

 

私にはその答えはわかりませんでした。

 

でも(なんでもそうですが)、何かアクションを起こさない限りは、間違いなく何もはじまらないのは事実です。

 

私の考え方のひとつは、「まずやってみること」です。

 

そんな中、たまたまスタッフとミーティングがてら食事をしていたとき、スタッフが突然言い出しました。

 

「実は私、カンボジアでボランティア活動をしにいきたいと思っています。」

「え?何をするの?」

「孤児院や学校などにいき、カット、ネイル、ヘアメイクなどをし、美容を通してのボランティア活動です。」

 

 

「僕もいく!」

 

 

はい、とてもシンプルです。

これがキッカケに、私はすぐ数名のスタッフに声をかけ、一ヶ月後に私達はこちらカンボジア・プノンペンに向かい、今に至っております。

 

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来年の活動の参考に、まず私は自分の目でみて、感じて、確かめたかったのです。そして、社会貢献とは?の答えを見つけたかったのです。

 

今回はInternational Beauty Volunteer Association(国際美容ボランティア協会)の皆様にご協力をいただき、現地をアテンドして頂きました。

是非、活動内容をご覧ください:
https://www.facebook.com/internationalbeautyvolunteerassociation/

 

まずはカンボジア・プノンペンにある日本語学校へ行きました。

日本人の先生が、現地カンボジア人に日本語を教えているのです。もちろんこちらの生徒さんは比較的裕福な家庭のお子様ばかりだと思います。

 

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私達は何十人もカット、ネイル、メイクをさせていただきました。

 

 

こちらで感じたのは、何よりも学校の教育です。部外者であり、さらに外国人である私達に、ひとりひとりが目を合わせ「おはようございます!」と大きな声で挨拶をしてくれます。

 

なんでしょう。

 

その挨拶ひとつひとつが、とてつもなく居心地のよい気持ちにさせてくれました。最近の日本人は皆、声も小さければロクに挨拶もできないひとばかり。

 

なのに異国であるここで、まだこんなにも小さい子供達に、人としての基本を学ぶことばかりでした

 

大人は第一印象が大切だ大切だと偉そうに言うが、私達は本当にきちんと相手の目をみて、ハキハキと声を出せているのか?ちゃんとお辞儀しているのか?

 

私達は一体何をしてきてしまったのか。どこで間違えてしまったのであろうか。

 

何もかもを手に入れてしまった私達は、相手をリスペクトをするという本質を見失い、腐りかけているのではないか。角が立つ言い方ですが、思わずそう思ってしまった。

 

そして、日本では挨拶やお辞儀が当たり前だと思っているこの子達が、いつか実際日本へ訪れたときに、とんでもないショックを受けてしまうのではないかと心配になり、心が苦しくなってしまいました。

 

「でもまだ遅くない、ひとは変われる。この経験を無駄にしたくない。」

 

と頭に言い聞かせながら次の場所へ向かいました。

 

 

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次に向かったのは孤児院です。

孤児院(こじいん)とは、親や世話してくれる近親者のない子供、孤児を収容し、養護するための施設。*wikipediaより

 

こちらでの経験もどのように表していいか正直、言葉が見つかりません。

 

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こちらより、まだ最近である1970年代にカンボジアで起きた、悲しい歴史をご覧頂けます:

S21 (トゥール・スレン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/S21_(%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%B3)
*wikipediaより

 

上記をご覧いただければ何故、孤児院へ足を運んだかをわかると思います。

 

子供達にネイルをしたり、メイクをしたり、カットしたり、、、

言葉が通じなくても、美容を通して通じ合うとは、こういうことなんでしょうか。

 

 

 

特にネイルやメイクには興味津々であり、気づいたらお互いのリップと塗ったり、ネイルをしあったりと、やっぱり美容は世界共通語のひとつであることを確信しました。

 

深いお話は避けたいと思いますが、子供達が心を開いてくれると、

 

とにかく、笑顔、笑顔、笑顔。

 

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僕もみんなと遊んだり、触れ合ったり、まるで子供に戻った気分になりました。

 

 

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そしてすべてを終え、いろいろ考えさせられました。

 

 

最初は、ボランティア活動をしたいと気安く発言する相手に、「ただ海外へ行きたいだけでしょ?本当に意味わかってるの?そんないい加減な気持ちでくるなら、来んでいい!」などと相手を決めつけたりすることもありました。

 

しかしですね、今は逆に「キッカケは何でも良いでしょ?」と思うようになりました。

 

意外とそいういうひとに限って、(実際ボランティア活動の経験をしてみると)誰よりもその活動の思いや意味を素直に感じ、新たな価値とともに本質を理解しはじめたりします。

 

私は今回のカンボジアで貴重な経験をさせて頂き、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。そして、また一人間として成長できる要素をみつけました。

 

ですが、ボランディア活動をするべきと、世の中の美容師さんに押し付けようとは決して思いません。お金もかかりますし、衛生的にも(特に日本で生まれ育っている方々に対しては)環境がよいとは言えません。

 

でも興味があるのなら、なんらかの形でまず「実行」することが一番大切なんじゃないでしょうか?

 

嫌な世の中にしたいと思うひとが、この世にひとりもいないのと同じように、

良い世の中にしたいと思う人が、必ずみんな心のどこかで思っていると思います。

 

カンボジアじゃなくてもいいですし、海外じゃなくてもいいのです。もっともっと身近な場所でもいいので、せっかく美容師になったのなら、なんらかの形で美容を通して世の中に幸せを与えたいと思います。

 

 

私達日本人美容師ができる社会貢献とは、一体なんなのか。

 

 

自分自身、または企業単位でも、

時代とともに、世の中に約立つ答えを探し続けることが「社会貢献」なんじゃないでしょうか?

 

 

今回ご協力頂いた国際美容ボランティア協会代表の Yuta Maruyamaさんと、現地をアテンドして頂いたHisao Watanabeさん。

カンボジア・シェムリアップから一緒に参加して頂き、ネイルやメイクを担当してくださったMiki Tsukadaさん

スタッフのAkina Shimizu, Hirofumi Ando,  Sakura Midorikawa

 

みんな本当にありがとうございます。うまく言葉が見つかりませんが、貴重な経験に感謝いたします。

 

では、Have a nice day~

 

小林 Ken

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